実務応用パターンガイド
✅ 目的と意図
本章では、「設計パターンをどう実務に応用するか?」という観点から、
現場でよく直面する実装課題を出発点に、パターンの具体的な活用方法を解説する。
これまでの章では、アンチパターンの改善や構造的な比較に焦点を当ててきたが、
ここでは「テストしづらい」「状態管理が煩雑」「認証付き操作が必要」といった
リアルな課題に対し、複数のパターンを組み合わせて解決する手法を紹介する。
複数パターンの連携により、以下のような設計上の課題に対応する:
- 責務分離
- 柔軟性と拡張性
- テストのしやすさ
- 状態と操作の分離
実務的な判断軸と構造の再現性にフォーカスし、パターンをより使いこなせる設計力を養うことが目的である。
✅ 構成と読み方
各セクションは以下の構成で記述されている:
- 背景:実務でよくある問題の具体例と課題を明示
- 解決の方向性:適用するデザインパターンと解決戦略の対応表
- パターンの併用構造:責務や関係の整理、併用ポイントの可視化
- UML クラス図:構造理解のためのクラス関係を図解
- 解説:各クラスの責務や、併用による利点を具体的に説明
- 実務での利点と適用例:ユースケースや導入効果を例示
- まとめ:適用ポイントの要約と導入価値の総括
考え方・構造設計の方針にフォーカスしている。
✅ 扱うユースケース例(全 8 件)
状況 / 課題 | 使用パターン |
---|---|
テストしづらい | DI + Strategy |
UI の状態更新が複雑 | Observer + State |
Undo/Redo を実装したい | Command + Memento |
API 呼び出しが重くて遅い | Proxy + Flyweight |
UI コンポーネントの連携が煩雑 | Composite + Mediator |
認可付きで操作させたい | Proxy + Command |
設定が散らかっていて管理しづらい | Factory + Singleton |
認証付きのリソースを生成したい | Factory + Proxy |