🌟 アーキテクチャ選定ガイド
ソフトウェアアーキテクチャは「流行」ではなく、目的と制約に応じて選択する技術 である。本ガイドでは、どのスタイル・トポロジー・統合方式を選ぶべきかを判断するための観点を整理する。
✅ まず最初に判断すべき 3 つの軸
アーキテクチャ選定の核心は次の 3 軸である。
1. 変更容易性(Changeability)
- 変更頻度は高いか?
- 変更の影響範囲は広いか?
- ドメインルールの複雑さは大きいか?
→ 高い場合は 依存方向ルール(Clean / Hexagonal / Onion) が有力。
2. スケール要求(Scalability)
- ユーザ数 / トラフィックは急増するか?
- 物理的にスケールさせる必要があるか?
→ 高い場合は Microservices / Serverless / Edge が候補。
3. データ整合性(Consistency)
- 強整合性が必須か?
- 遅延を許容できるか?
→ 最終的整合性を許容するなら Event-driven / CQRS / Event Sourcing が有効。
✅ トポロジー選定(Monolith / Modular Monolith / Microservices)
◎ Monolith を選ぶべきケース
- 初期フェーズ
- 小規模チーム
- 変更範囲が明確である
◎ Modular Monolith を選ぶべきケース
- チームが 2〜5 つ程度
- コンテキスト境界が明確
- 将来マイクロサービス化を視野に入れる
◎ Microservices を選ぶべきケース
- チーム規模が大きい
- 独立デプロイが強い要件
- 境界が明確でドメインが複雑
✅ Integration スタイル選定(REST / gRPC / Event-driven)
REST
- 公開 API
- 使いやすさ重視
- 汎用的な Web システム
gRPC
- サービス間通信(高速・型安全)
- 内部 API
- パフォーマンス要求が高い
Event-driven
- 疎結合化したい場合
- 非同期処理が中心
- レジリエンス要求が高い
✅ Data アーキテクチャ選定
Data Warehouse
- 分析 BI
- 構造化データ中心
Data Lake / Lakehouse
- 半構造化・非構造化データ
- ML パイプライン
CQRS
- 読み書き負荷の偏り
- 読みモデルを最適化したい
Event Sourcing
- 監査 / 履歴が必須
- 時系列データが中心
✅ Cross-cutting の観点から決める
DevOps / CI/CD
- 部署横断でデプロイ頻度を高めたい
SRE / SLO
- 可用性と信頼性を KPI として扱う必要がある
Team Topologies
- 組織構造によりアーキテクチャは変化する(Conway’s Law)
🧭 最終的な選定フロー(簡易チャート)
✅ まとめ
アーキテクチャ選定とは、
「状況・要件・組織・制約」から逆算して構造を決めるプロセス である。
特定のスタイルに固執するのではなく、
どの問題を解決するためにどの構造を選ぶのか を明確にすることが重要である。