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🧩 Command パターン

✅ 設計意図​

  • 実行内容を「命令」としてオブジェクト化する
  • 状態ごとの処理を実行タイミングに応じて呼び出す

✅ 適用理由​

  • 状態というよりは、「実行する内容をあとから差し替える」文脈で使える
  • 操作履歴や Undo/Redo が関係する場合に有効

✅ コード例​

// コマンドインターフェース
interface PublishCommand {
  execute(): void;
}

// 各状態の処理をコマンド化
class DraftPublishCommand implements PublishCommand {
  execute(): void {
    console.log("レビュー依頼を送信");
  }
}

class ReviewPublishCommand implements PublishCommand {
  execute(): void {
    console.log("公開しました");
  }
}

class PublishedPublishCommand implements PublishCommand {
  execute(): void {
    console.log("すでに公開済みです");
  }
}

// Invoker（呼び出し役）
class Document {
  private command: PublishCommand;

  constructor(command: PublishCommand) {
    this.command = command;
  }

  setCommand(command: PublishCommand): void {
    this.command = command;
  }

  publish(): void {
    this.command.execute();
  }
}

// 利用例
const doc = new Document(new DraftPublishCommand());
doc.publish(); // → レビュー依頼

doc.setCommand(new ReviewPublishCommand());
doc.publish(); // → 公開

doc.setCommand(new PublishedPublishCommand());
doc.publish(); // → すでに公開済み

✅ 解説​

このコードは Command パターン を使用して、ドキュメントの公開処理をコマンドとしてカプセル化し、動的に切り替えられる設計を実現している。 Command パターンは、操作をオブジェクトとして表現し、操作の実行を遅延させたり、動的に切り替えたりするデザインパターン。

1. Command パターンの概要​

  • Command: 操作を表現するインターフェース
    • このコードでは PublishCommand が該当
  • ConcreteCommand: Command を実装し、具体的な操作を定義するクラス
    • このコードでは DraftPublishCommand, ReviewPublishCommand, PublishedPublishCommand が該当
  • Invoker: Command を実行する役割を持つクラス
    • このコードでは Document が該当
  • Client: Command を生成し、Invoker に渡す役割を持つ
    • このコードでは new Document(new DraftPublishCommand()) の部分が該当

2. 主なクラスとその役割​

  • PublishCommand
    • コマンドの共通インターフェース
    • execute(): void メソッドを定義
  • DraftPublishCommand, ReviewPublishCommand, PublishedPublishCommand
    • PublishCommand を実装した具体的なコマンドクラス
    • 各クラスで異なる公開処理を提供
    • DraftPublishCommand: 「レビュー依頼を送信」
    • ReviewPublishCommand: 「公開しました」
    • PublishedPublishCommand: 「すでに公開済みです」
  • Document
    • Invoker クラス
    • コンストラクタで PublishCommand を受け取り、publish メソッドでコマンドを実行
    • setCommand メソッドでコマンドを動的に切り替え可能

3. UML クラス図​

4. Command パターンの利点​

  • 操作のカプセル化: 操作をオブジェクトとして表現することで、操作の実行を遅延させたり、動的に切り替えたりできる
  • 柔軟性: 新しい操作を追加する場合も、PublishCommand を実装するだけで対応可能
  • Invoker の汎用性: Document はどのコマンドでも実行可能で、汎用性が高い

この設計は、操作をオブジェクトとして扱うことで、柔軟性と拡張性を向上させる。特に、操作の切り替えや履歴管理が必要な場面で有効に機能する。